お薬について

降圧剤

1.血圧のコントロール(最近の薬物療法)

◎高血圧を治療することが脳卒中や心筋梗塞の予防につながる。

「高血圧」の治療が必要なのは、血圧の高い状態が続くと、血管に大きな負担がかかって、「動脈硬化」が進み、「脳卒中(脳出血、脳梗塞)」や「心筋梗塞」などを起しやすくなるためです。 従って、高血圧と診断されたときは、適切な治療により血圧をコントロールする必要があります。ただし、高血圧と診断されても、すぐに薬物療法を行うとは限りません。

◎薬物療法が必要になる時期

・軽症(グレード1)の人
収縮期血圧140mmHg以上180mmHg未満、あるいは拡張期血圧90mmHg以上100mmHg未満の人を指します。
軽症の人は、運動療法や食事療法を続けながら、約半年間様子を見ます。
血圧がコントロールできるようになら、薬を飲まず、運動療法と食事療法を続けます。
・中等症(グレード2)の人
収縮期血圧160mmHg以上180mmHg未満、あるいは拡張期血圧100mmHg以上110mmHg未満の人を指します。
中等症の場合も、軽症と同じく運動療法と食事療法を続け、約3ヵ月間様子を見ます。
・重症(グレード3)の人
収縮期血圧180mmHg以上、あるいは拡張期血圧110mmHg以上の人を指します。
重症の人は早めに薬物療法を開始して、血圧を下げる必要があります。

WHO/ISHの新しい高血圧分類

WHO/ISHの新しい高血圧分類

血圧は「高血圧」と「正常」に分類され、さらに、高血圧、正常値とともに3段階に分かれる。高齢になると、拡張期血圧が正常の範囲でも、収縮期血圧が正常より高いことがある。これを「収縮期高血圧」といい通常の高血圧と同様、注意が必要。

◎目標にする血圧

 治療の際、目標とする血圧は、「収縮期血圧140mmHg未満、 かつ拡張期血圧90mmHg未満」です。
 ただし、若中年の人や糖尿病を合併している人は、「収縮期血圧130mmHg未満、 拡張期血圧85mmHg未満」を目標値とします。

2.薬の種類と特徴

 高血圧の治療に用いられる降圧剤は、6種類あり血圧を下げる仕組みで分類されます。

◎カルシウム拮抗薬

 カルシウムは血管壁の細胞に入り込んで、血管を収縮させ、血圧を上げます。この薬は、血管壁の細胞にカルシウムが入るのを防ぎ、血管を拡張させて血圧を下げます。降圧効果が高く、早く効くこともあり、日本で最も多く使われています。「顔面紅潮、足のむくみ、頭痛、めまい、動悸」などの副作用が出ることがあります。

◎α遮断薬

 「交感神経」は、血圧の調整に関与する「自律神経」の1つです。交感神経が緊張すると、交感神経の末梢部分から、血圧を上げる物質が放出されます。その物質は血管壁などにある「受容体」で受け取られ、血管が収縮して血圧が上がります。
 受容体にはαとβの2種類ありますが、この薬はそのうちの「α受容体」を遮断し、交感神経の働きを抑え、血管の収縮を防ぎます。血管の収縮が抑えられるため、急に立ち上がると脳に行く血液が不足し、「めまい、立ちくらみ」を起すことがあります。

◎β遮断薬

 交感神経のもう1つの受容体で、主に心臓にある「β受容体」を遮断し、交感神経の働きを抑えて、主に心拍数を減少させ、心臓から送りだされる血液の量を少なくして、血圧を下げます。ただし、交感神経の緊張が緩み、「気管支けいれん、息切れ」などの副作用が出ることがあります。そのため、ぜんそくの人は用いることが出来ません。このほか、「徐脈(脈拍が毎分50以下)、倦怠感」などの副作用が出ることもあります。

◎ACE(エース)阻害薬

 「アンジオテンシンII」という、血管を収縮させて血圧を上げる働きのあるホルモンが、血液中や血管壁で作られるのを抑え、血圧を下げます。
 副作用としては、「から咳」が出たり、ごくまれに咽の奥にむくみが起り、空気の通りが悪くなることもあります。

◎AII(エーツー)拮抗薬(A-IIアンタゴニスト)

 アンキオテンシンII(AII)は、血管にある受容体と結びついて、血管を収縮させますが、この薬はAIIが受容体と結びつくのを妨げ、血圧を下げます。
まれに副作用で「めまい」が起ることがあります。

◎利尿薬

 尿の量を増やし、体内からナトリウムや水分を排出して血圧を下げます。
患者さんが自覚する副作用はほとんどありませんが、「血液中の尿酸値、血糖値、コレステロール値が上昇」したり、「低カリウム血症」になることがあります。これらの副作用は、血液検査をしてみないとわからないので、定期的に検査をします。また、痛風や糖尿病の人には極力使用を避けます。

3.薬物療法の注意点

 降圧薬を処方する際には、患者さんの状態を総合的に考慮し、最も相応しい薬を選択します。充分な効果が得られなければ、薬の量を増やしたり、別の降圧薬を併用します。また、副作用が出る場合などには、別の薬に替えます。
 服用を開始してから効果が現れるまでの期間は、薬によって様々です。カルシウム拮抗薬は効果が現れるのが早く、1週間程度、一方、AII拮抗薬、ACE阻害薬、利尿薬などは効果が完全に現れるまで2ヵ月ほどかかります。すぐに効かないからといって、服用をやめずに、医師の指示通りに服用してください。
 また、長年高血圧の状態が続き、その状態に身体が順応している場合には、薬はゆっくり効くものの方がよいとも言えます。

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